
日本の街や家庭には、金や銀などの貴金属が眠っているのを知っていますか? このことを「都市鉱山」と呼んでいます。貴金属と都市鉱山について、田中貴金属に教えてもらいました。
- 貴金属に関する仕事
- 資源を守る仕事
- 環境にやさしい仕事
いろいろな製品の中に貴金属などの資源が使われている状況を、都市にある鉱山にたとえて「都市鉱山」と呼んでいるよ。
貴金属は、わずかしか採掘できない金属です。6000年もの大昔から使われてきたといわれる金ですら、これまでに採掘された量は国際基準プール※約4.5杯分にすぎません。
※長さ50.02m・幅25m以上・水深2m以上
自然界にある元素92種類のうち、
約70種類が金属

少なすぎるポン!

貴金属は全部で8種類

プラチナ(白金)(78)

金(79)

銀(47)

パラジウム(46)

ロジウム(45)

イリジウム(77)

ルテニウム(44)

オスミウム(76)
写真 田中陵二
※名前の後ろの数字は原子番号
都市に眠る貴金属
貴金属には、「さびない」「加工しやすい」「電気をよく通す」「熱に強い」などの特徴があり、産業用製品の素材や部品として幅広く使われています。使われている量は、天然の鉱山に現在埋蔵されている量よりも多いとされています。そして、携帯電話やパソコンなどは、数年ごとに買い替えることが多く、使われなくなると、家や街で眠ったままになりがちです。そんな貴重な資源がさまざまな製品の中に眠る都市の状況は「都市鉱山」と呼ばれています。
都市鉱山から、 リサイクルされた貴金属を探せ!!
都市鉱山からリサイクルされた貴金属は、新たに活用することができます。リサイクルを意識するためにも、あなたの家や街でどんな貴金属が使われているか、探してみましょう。

1 イリジウム・白金合金
点火プラグ(ガソリンを着火、爆発させるパーツ)の材料として使用

2 白金・白金合金
水素と酸素が反応して発電する燃料電池の電極部分の触媒として使用
3 銀
太陽電池の電気を流したり電気を取り出す電極として使用
4 ルテニウム・白金合金
パソコンのハードディスクに使用

5 金
パソコンの中で電気を通す線として使用

6 金・銀など
LED照明で、明るさを高める部品として使用

7 金・銀
CDやDVDの耐久性を高める膜に使用
8 金
液晶テレビや有機ELテレビの部品を接着する材料に使用
9 銀
赤外線を反射して熱エネルギー効率を上げる特殊な膜の材料として使用
11 金
インフルエンザやコロナウイルスなどの診断キットの検出ラインの発色剤として使用
10 金
携帯電話の内部で電気を通す線や、部品をつなげる接着剤として使用
循環型社会の実現で輝かしい地球の未来に貢献します!
田中貴金属工業株式会社 湘南工場
工場長 長岡章夫さん
貴金属は私たちの生活に欠かせない重要な元素です。みなさんもこのページの説明で、貴金属が見えないところで大活躍していることが分かったかと思います。しかし貴金属は希少な限りある資源であり、廃部品(都市鉱山)からリサイクルする循環型社会を実現することは極めて重要です。私たちは、地球温暖化などの環境問題に向き合い、電気・電子部品の材料開発および可能な限り100%リサイクルできるようなプロセス開発を目指しています。最近は貴金属価格がいっそう高くなっており、リサイクルの重要性がさらに高まっています。美しい地球の未来に貢献していくため、貴重な資源を有効に活用していきましょう。
リサイクルで地球に貢献しましょう!


▲さまざまな電子機器(上)に使われている貴金属をリサイクルするのは大切(手にしているのは金とプラチナ)