映画予告編クリエーター のしごと

2026.08.31 紹介します○○のしごと
映画予告編クリエーターの蜜本さん
「整音」と呼ばれる、音声を聞きやすく自然なものに調整している様子。映像や音の編集は「まるでパズルのよう」だといいます 密本さん提供
映画予告編クリエーターの蜜本さん

密本雄太さん

ココロドル(東京都港区)代表取締役

もっと見たくなる映像を編集

さまざまな映画の予告編を手がける、映画予告編クリエーターの密本さんは映画の予告編を専門に制作する会社、ココロドルの代表取締役を務めます。

映画予告編クリエーターは映画を宣伝する会社などの取引先から仕事を引き受けると、「映画のどんな魅力を伝えたいのか」「どんな風に見てもらいたいのか」といった、方向性をいっしょに話し合って決めます。

方向性が決まったら、実際に映画の本編を見ながら、シーンやセリフを選んでつなげたり、音や字幕をつけたりといった編集作業をします。

出来上がった映像に、取引先からオッケーが出ると、あらすじや登場人物などを紹介するナレーションをとって仕上げます。最後は映画に関わった人たちと、完成した予告編を映画館と同じ環境で確認して、仕事が完了します。

密本さんは「短い時間の中で『どれだけ多くの人の心をゆさぶれるか』を意識して編集している」と語ります。「本編の見どころばかりだと、予告編だけで満足してしまう人がいるでしょう。また、編集によっては恋愛映画をホラー映画のように見せることもできます。本編の内容や伝えたいことを的確にとらえて編集しています」

とくに大切にしているのは「感情曲線」とよばれる、人の感情を3段階で表したものです。①興味を持たせて、②夢中にさせて、③もっと見たいと思わせます。
 ①では、その映画がどんな話なのかを伝え、人びとの興味を引きつけます。②では、どんな困難や問題に立ち向かうのかなどを紹介して心をつかみます。③では、困難や問題がどのように解決されていくのか、はたして解決できるのか、クライマックスに向けて盛り上げ、本編を見たくなるようにします。

「感情曲線が、予告編のできを決めます。自分がつくった予告編が街中の大きなディスプレーなどで流れ、多くの人の目にふれたとき、大きなやりがいを感じます」

あゆみ

小学校時代
物の構造が気になり、パソコンや椅子などを分解した
中学・高校時代
パソコンが好きで、中学生のころにプログラミングを学ぶ。パイロットを目指していたが、高校3年生のときに映画『スパイダーマン3』の予告編に心をうばわれ、映像制作の道に進むことを決意
専門学校時代
デザイン系と映像系の専門学校の2校を卒業
2012年
アメリカ・ロサンゼルスに渡り、映画の予告編を制作するスタジオで修業。心理学も学ぶことで、人の心を動かすものづくりを身につける
2014年
帰国後、映画予告編クリエーターとして独立
2016年~現在
ココロドルを設立。クリエーターの育成にも力を入れている

なるためには?

編集ソフトの操作などの専門的な技術は大切ですが、絶対に必要というわけではありません。小学生のうちは、とにかく、多くの場所に出かけて、より多くのものを見てください。美術館でも動物園でも遊園地でも何でもいいです。

さまざまなものを見ることが、自分の感性を養うことや、他国の文化への理解などにつながって、多くの人の心を動かすものがつくれるようになると思います。

おしごとあるある

だれよりも音に敏感です。なぜなら、予告編を作るうえで感情曲線と同じくらい大切なのが、「音」だからです。

たとえば、敵に追われている危険な状況を短い映像の中で表現したいとき、敵が登場するシーンでライオンなどの「ガオー」という声を入れます。見ている人はライオン、つまり強者の声を聞くことで、だれが敵なのかをすぐに判断できます。

シーンに合った音をいつも探しています。

思い出の仕事

2022年に公開されたアメリカのサバイバル映画『FALL/フォール』という作品は、チームのみんなで話し合いながら、一つの予告編を作り上げました。その結果、ユーチューブで90万回近く再生され、多くの人に見てもらえました。

映画「FALL」の予告編画像

2026.4. 20付 朝日小学生新聞
構成・鷲尾達哉

毎週月曜連載中の「教えて!〇〇のしごと」から記事を転載しています。
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