パイプを確認しているあのひと、何してる?

2026.08.07 あのひと何してる?

ガスの緊急保安員が点検をしている画像

ガスの緊急保安員

ガスは、料理やお風呂、冬の暖房などに使われる、便利なエネルギーだ。しかし、もしガスが漏れてしまうと、火事や事故などにつながることがある。そんなとき、すぐに駆けつけて安全を守るのが「ガスの緊急保安員」だよ。写真は、ガス漏れしているガス管の修理をしている様子。みんなの暮らしを守るため、どんな仕事をしているのかな?(写真提供/東京ガスネットワーク株式会社 撮影地は神奈川県横浜市)

24時間365日、ガスのトラブルに駆けつけ暮らしを守る


ガスの緊急保安員は、お客さんから「ガスの臭いがする」「ガス(火・お湯)が使えなくなった」といった通報があるとき、すぐに現場へ駆けつけます。そして、ガス漏れや機器の破損がないか点検し、必要なら修理をしてガスの供給を再開するのが仕事です。1日に寄せられる通報は約360件(東京ガスネットワークの都市ガス供給エリア内)、そのうち、実際に緊急出動が必要になるケースは、約40件です。ガスを安定して供給するために、24時間365日体制で働いています。

ガスの緊急保安員が点検をしている画像

天井部の点検口を、ガス検知器で調査中。現場では2名1組で動くのが基本で、役割分担をしながら作業予定内容や作業結果を共有する(撮影地は神奈川県横浜市)

出社すると、まずは緊急車両の整備を行い、ガス漏れ検知器や修理に使う道具などを点検します。待機中は、現場で完璧な作業ができるよう、技術を高めるためのトレーニングも欠かしません。


緊急の出動が必要になるのは、「とてもガス臭い」という通報を受けたときや、工事現場でガス管に傷がついてガスが漏れている場合などです。即座に緊急車両に乗り込み、パトカーや消防車と同じように赤ランプをつけ、サイレンを鳴らしてすみやかに移動し、15分以内に現場へ到着します。通報したお客さんには、「もう大丈夫ですよ」と明るく声をかけて落ち着いてもらうのも、保安員の重要な仕事です。作業中も「今から何をするか」を丁寧に説明し、安心してもらうことを心がけています。

ガスの緊急保安員が点検をしている画像

バルブを閉めて、ガスの供給を止めているところ。現場では、たった一つの油断が大きな事故につながるため、「仕事の手順を守ること」「判断に迷ったら安全を優先すること」を心がけている(撮影地は東京都荒川区)

ガス漏れが疑われるとき、一番避けたいのは爆発などの事故が起こることです。まずは「ガスを止める」「火を使わない」「窓を開けて換気する」「電気のスイッチを使わない」といったことを、通報を受けたときに素早くお客さんへ伝えます。1分1秒を惜しんで適切な対応をすることが、お客さんの命と財産を守ることにつながるからです。


さらに、通報してくれたお客さんから状況を聞き取り、その結果をもとに、検知器を使ってガス漏れの場所を調査・特定。その後、ガス漏れの修理を行います。

ガスの緊急保安員が荷物を運んでいる画像

「絶対に事故を起こさないぞ!」という強い気持ちで現場へ。必須の道具は「ガス検知器」だ。火がガスに燃え移ると大変危険なので、燃えにくい素材の制服に身を包み、静電気が起きやすい服などは持ち込み厳禁(撮影地は東京都立川市)

現場は、一つとして同じ状況がありません。天候や建物の形、お客さんの状況に合わせて、瞬時に最善の判断を下さなければならないところが、この仕事の難しさです。例えば、広い建物や構造が複雑な場所では、ガス漏れの原因を見つけるのは厄介です。そんなときは、最新の検知器を使いながら、自分たちの目や鼻、これまでの経験も頼りに、わずかな異変を見逃さずに調査して、トラブル箇所を見つけるのが腕の見せどころです。 


ガスは「あって当たり前」と思われがちですが、止まった瞬間に生活への影響がいかに大きいか、あらためて実感するインフラ(社会の基盤)です。保安員は人々の生活を支え、いざというときに頼りにされる存在として誇りと責任感を胸に、毎日制服に袖を通しています。

どうしたらガスの緊急保安員になれるの?


ガスを取り扱う会社へ就職するのが一般的です。また、「ガス主任技術者」という国家資格の勉強をしておくと、ガスの専門知識などが身につき仕事に役立ちます。

協力/東京ガスネットワーク株式会社

取材・文/内藤綾子