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スポーツ選手になりたくても、みんななれるわけじゃないよね？

2020.07.28 おしごと映画

しごとについての質問

「スポーツ選手になりたい！っていう子がクラスに3人いる。けど、みんななれるわけじゃないよね？」(11歳・男子)

中山治美（なかやまはるみ）さん　

スポーツ新聞記者を経て、フリーの映画ジャーナリストに。映画サイト「シネマトゥデイ」ほか、多数の雑誌で連載。世界の撮影スタジオ、映画祭を取材中。

そうですね。残念ながら、誰もが夢をかなえられるとは限りません

『マネーボール』

監督：ベネット・ミラー

出演：ブラッド・ピット、ジョナ・ヒル

発売・販売元：ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

価格：Blu-ray 2381円（税別）／DVD 1410円（税別）

『アゲイン　28年目の甲子園』

監督：大森寿美男

出演：中井貴一、波留、和久井映見、柳葉敏郎

発売・販売元：ポニーキャニオン

価格：Blu-ray　4800円（税別）／DVD　3800円（税別）

それはどんな職業でも同じこと。公務員のように試験を要するものや、航空機のパイロットや宇宙飛行士は、心身の健康状態も問われる職種で、条件をクリアしていなければ採用試験すら受けられません。でも逆に言えば、誰もがなれるわけではないからこそ、人は努力するのではないでしょうか。

さて、いやおうなしに現実はやってきます。その時に備えてどんな対応を取るか。ヒントやアドバイスをくれるのが本や映画です。ブラッド・ピット主演『マネーボール』を見てみましょう。

ブラッドが演じるのは、かつて鳴り物入りでメジャーリーグのN.Y.メッツに入団した選手ビリー・ビーン。しかしプロの世界は厳しく、早々に引退。その後彼は、アスレチックスのゼネラルマネージャーとなりチーム編成のトップへ。裏方として野球の仕事に携わる道を選びます。ただ同球団の経営状況は厳しく、大金を用意して有力選手を獲得することができません。そこで取り入れたのがデータ化した選手成績を活用した“マネーボール理論”。2002年には驚異の20連勝という記録を打ち立てます。

ビリー・ビーンは実在の人物で、現在はアスレチックスの上級副社長です。選手では花開かなかったかもしれませんが、同様に球団経営などの裏方で活躍している人はたくさんいます。経験者なのでチームの財産である選手の気持ちを理解した上で仕事ができること、何より野球が好きという気持ちが彼らの情熱を駆り立てるのでしょう。

またたとえプロの道へは進めなかったとしても、夢をかなえることはできます。その一つが高校球児の憧れ、甲子園の土を踏むこと！　それを実現させたのが2004年に始まった全国の高校野球OB・OGを対象にしたマスターズ甲子園です。

中井貴一主演『アゲイン　28年目の甲子園』は、仲間の一人が東日本大震災で犠牲になったことを知り、元野球部員が再集結してマスターズ甲子園出場を目指す物語です。皆、歩んだ道はバラバラ。おまけに年齢を重ねて現役時代のように動けません。高校時代に起こした苦い思い出もよみがえってきます。でも3年間、共に汗と涙を流した時間はやはり特別。あっという間に当時の関係に戻るところがなんともほほえましく、うらやましくもあります。

今年はコロナ禍の影響で、多くのスポーツ大会が中止を余儀なくされています。プロを目指しているあなたのクラスメートも、きっと悔しい思いでいるでしょう。彼らにかける言葉は見つからなくとも、本気で頑張っている友達にどうか心からエールを送ってください。いつか彼らは、あなたの自慢のクラスメートになるかもしれませんよ。