プレパパとママに囲まれているあのひと、何してる?

2020.04.08 あのひと何してる?

市区町村の保健師(しくちょうそんのほけんし)

乳幼児から高齢者まで幅広い世代と関わり、健康増進をサポートする保健師。保健センター、保健所、地域包括支援センター、病院・診療所、福祉施設、訪問看護ステーション、学校や大学の研究機関、企業など、さまざまな場所で働き仕事内容も違うよ。今回は、市町村の保健師を紹介しよう。写真は、両親学級を行っている様子だ。(写真提供/秋田県大仙市健康福祉部健康増進センター)

地域住民の健康と命を守る公衆衛生の専門家


乳幼児では心身の成長発達、妊婦では妊娠期特有の体調の変化に気を配る

地域行政に関わる立場として、保健施策に関連するデスクワークも多い

市区町村の保健師は、保健所や保健センターなどに勤務し、地域住民の心と体の健康を支えています。具体的には、次のような仕事をしています。

・家庭訪問や健康相談、健診(検診)などの健康管理
・体操教室や健康に関する講演会の開催。健康情報や技術の普及
・地域で健康づくり活動をする人材や団体の養成
・乳幼児健診、育児相談、母子保健活動、予防接種の環境調整
・自殺予防、食育、介護や認知症施策の実施
など。

上記の活動を行う中で、「子どもの歯磨きの仕上げ磨きをしない保護者には、仕上げ磨きを定着させる」「酒・タバコが好きな人にできればやめてもらう」「閉じこもりがちな高齢者には、自宅から連れ出し、外の社会との接触を促す」など、個別の悩みにも対応します。

しかし、人の考え方や行動に変化をもたらすことは容易ではありません。「大した問題じゃない」「他人に知られたくない」といった意識が強いことも多く、その場合には本人の気持ちを尊重しつつ、「一緒に問題に取り組みましょう」という働きかけを丁寧に行う辛抱強さも必要です。

日常の業務では、認知症、不妊、思春期、虐待、DV(ドメスティックバイオレンス、配偶者など親密な関係にある人から受ける暴力)、うつ、依存症、貧困など、幅広い事例を扱います。一方、東日本大震災などの災害時には、被災者たちの健康管理や、避難所周囲の消毒作業などを行いました。

新型コロナウイルスの流行では、情報発信や注意喚起、各種イベントの開催中止の連絡調整、マスク・消毒液などの物品調達、相談窓口の設置や関係機関との連絡調整など、大流行を防ぐために活躍。災害・緊急時を含め社会で果たす役割は大きく、多くの人の健康や命を救っているのです。

どうしたら市区町村の保健師になれるの?


看護師国家試験と保健師国家試験の両方に合格すれば「保健師」と認められます。資格取得後、自治体ごとに行われる地方公務員の採用試験を受験します。

協力/協力/秋田県大仙市健康福祉部健康増進センター

取材・文/内藤綾子