

ISSEIさん
短い動画で人や社会に影響を
TikTokのフォロワーは1200万人をこえ、ユーチューブのチャンネル登録者数もおよそ6千万人。ISSEIさんは、影響力の大きいインフルエンサーです。言葉を使わずに動作などで笑いを取る「非言語コメディー系」を中心に投稿を始め、現在は、「やってみた系」「あるある系」、メッセージを伝えるストーリー動画なども発信しています。
共通するのは「言葉に頼らない表現」です。海外の人にも伝わるので、日本以外にもファンが増えていきました。
子どものころから「有名になること」が夢だったというISSEIさん。「TikTokが世に出た高校生のころからショート動画に大きな魅力を感じて、見ていました。気がつけば発信する側になっていました」
その際、メインの場にしたのがTikTokでした。当時は投稿内容も現在ほど高度ではなく、「ここならやれるかも、と思いました」。見よう見まねで制作を始め、「『とりあえずやってみようぜ』という精神でずっとやってきました」
最初は時間がかかった動画制作も、現在は企画から完成まで8~10時間ほどだといいます。今はチームを組んで動画の企画・制作にあたっています。
- 小学校時代まで
- 東京都生まれ。活発で、目立ちたがり屋でした。小学校の運動会では応援団を務め、学芸会ではいい役を取りたくて積極的に前に出ていました。人を笑わせることが楽しいと知りました
- 中学校時代
- 勉強はあまり得意ではありませんでしたが、公式などを使う数学や、文法などを使う英語はパズルのような感覚で「楽しかった」。部活は野球部でした
- 高校時代
- 高校でも野球部に所属しましたが、重大な脊椎疾患(背骨に損傷をあたえる状態)を発症。その後はマネジャーのような立場でチームを支えました。そんな中、TikTokに出合いました
- 大学時代
- 進学しましたが、2019年に発信を開始してからはTikTokだけに熱中。俳優を目指してダンスやボイストレーニングにも取り組みましたが、「自ら発信して自ら仕事を獲得する」働き方に魅力を感じ、インフルエンサーにしぼりました
- 2022年
- TikTokのフォロワー数が1千万人をこえました

コメントで自分の価値を再発見
初期のころから、見ている人からのコメントを大切にしてきました。「どんな動画がウケるのか」といった分析を行うヒントになるからです。コメントを参考に、ウケる動画を中心に、集中的に投稿する技術を育てていきました。
今は自分の力を、人や社会のためにどう使うか、さぐっているところだそうです。
「以前『いじめを受けていて苦しいけど、ISSEIの動画を見ると幸せな気持ちになれる』というコメントがあって、自らの価値を再発見しました。前向きないい影響をあたえていけたらと思っています」
なるためには?
ぼくは現在、動画内の広告や、企業からの「PRしてほしい」という依頼にこたえることで収益を得ています。
発信でかせげるようになりたいならば、まずは「とにかく発信」してほしいです。「試してはやり直し」はその後にやればいい。あれこれ考えると逆に行動に移れなくなるので、まずは始めることが大事。その上で周りの意見やコメントに耳をかたむけて、改善を続けていくといいと思います。
必要な道具は?
端末や動画編集ソフトの性能が高まりスマートフォン一つで制作・発信まで完結できますが、少しでも質を高めようと、いい一眼レフカメラを使っています。

おしごとあるある
「インフルエンサーってもうかってるんでしょ?」とよく言われます。具体的な収入は……ないしょです(笑い)。でも、ネットに出ているような高額収入ではないですよ。やっぱり簡単にもうけられる世界ではないですよね。ぼくも日々、挑戦しています。
ただ、発信がいやになったことはなくて、低評価がついたり中傷されたりしても、「いつかこの人も応援してくれるようになる」と信じて、続けています。
2025.5.5付 朝日小学生新聞
構成・正木伸城(ライター)
毎週月曜連載中の「教えて!〇〇のしごと」から記事を転載しています。
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