部屋で絵画をさわっているあのひと、何してる?

2026.03.12 あのひと何してる?

ホームステージャーが部屋を整えている画像

ホームステージャー

家を買ったり借りたりするとき、からっぽの空間のままより、家具やものが置いてあるほうが「ここでどんなふうに暮らすのかな?」って想像しやすいよね。ホームステージャーは、家具や小物を使って、部屋の中に「暮らしのイメージ」をつくる仕事だよ。見た人が「ここに住んでみたい」と思えるように、その家のいいところを分かりやすく伝えているんだ。(写真提供/株式会社サマンサ・ホームステージング 撮影地は東京都中央区)

家に住む人の気持ちになって「空間を整える」仕事


ホームステージャーは、中古・新築の家やマンション、前の住人が退去して空室になった物件など「これから誰かに選んでもらう住まい」の空間を作る仕事です。不動産会社から依頼を受け、短時間の内見(ないけん=実際に訪れて内部を見学すること)でも魅力を感じられるよう、家具や小物を使って空間を整えます。

ホームステージャーが打ち合わせをしている画像

打ち合わせをしているところ。物件の広さや間取り、どういう人が入居するかなどの情報をもとに、使用する家具や小物、色味を決めます(撮影地=東京都中央区)

まずは、物件の広さや間取り、どんな人に住んでほしいかといった不動産会社の情報をもとにしたインテリア提案書(室内を装飾するプラン)づくりから。


例えば「共働きの夫婦」が住む部屋なら、リビング・ダイニングは、食事だけでなく在宅ワークやちょっとした作業にも使えるようにテーブルのサイズや配置を考えたり、キッチンから部屋全体が見渡せるようにして、家事をしながら会話ができるレイアウトにしたりします。見に来てくれる人に「この部屋でどんな一日を過ごすか」が自然に思い浮かぶよう、使用する家具や小物、色味を選び、配置を決めていきます。

ホームステージャーが部屋を整えている画像

部屋を整える様子。クッションやアート、小物を加えながら空間を仕上げていきます(撮影地=東京都中央区)

プランが決まったら、家具や小物を実際の部屋に運び入れて配置します。部屋に入ったとき、どこをどんなふうに見るか、部屋の見え方を意識し「どこに視線が集まるか」「どの位置に家具を置くと部屋がもっとも広く見えるか」といった点を踏まえて、配置を微調整することも。


ソファーやベッドなどの大きな家具を運ぶときは、エレベーターやドア、廊下の曲がり角の幅を測り、きちんと通れるかをあらかじめ確かめておくことも大切です。まわりを傷つけないように動きを考える、とても気をつかう場面です。

ホームステージャーが部屋を整え前と後の部屋の画像

(上)家具や小物を入れる前の部屋。(下)家具や小物を並べた部屋。空っぽの部屋と比べると「ここでどのような暮らしができるか」が想像しやすい(撮影地=東京都世田谷区)

中古物件の場合は、床や建具(たてぐ=戸、窓など開閉する部分と、それを取り付ける敷居など部屋を仕切るもの)に年数なりの使用感があることも少なくありません。そんなときも、古さを隠すのではなく、その部屋ならではのよさをどう生かすかを考えます。年月を経て変化した家の風合いに合った家具を選んだり、絵や植物を使って視線を集めたい場所を作ったりすることで、部屋の印象を前向きに変えていきます。


ホームステージャーの仕事は、部屋をきれいに見せることが目的ではなく、家や部屋の魅力を分かりやすく伝えること。ホームステージングによって、内見したときの印象がよくなり、その後の話がスムーズに進みやすくなります。


完成した空間を見て、不動産会社の人や実際に家を見に来たお客さんから「印象が全然ちがう」「住むイメージがわきやすい」といった声をもらえることは、大きなやりがいのひとつです。

どうしたらホームステージャーになれるの?


毎日の暮らしの中で「家具をここに置いたら使いやすそう」「こうしたら気持ちよく過ごせそう」と考えることは、すでにホームステージャーの考え方につながっています。


学校で学ぶ図工や美術で、ものの配置や見せ方を考える経験も役に立ちます。将来は、インテリアや住まい、不動産についての知識を学び、ホームステージャーの認定講座を受講して試験に合格することで、仕事として活躍する道もあります。「想像する力」や「気づく力」を大切にできる人に向いている仕事です。

協力/株式会社サマンサ・ホームステージング

取材・文/伊東ししゃも