高級な腕時計を手にしているあのひと、何してる?

2020.02.03 あのひと何してる?

百貨店外商(ひゃっかてんがいしょう)

百貨店(デパート)には買い物へ出かけるのが普通だけど、逆に、百貨店のスタッフが自宅へ来てくれることもあるんだ。そのスタッフを、百貨店外商というよ。写真は、顧客に提案する商品を店頭で選別しているところだ。ひとりで200~300家族を担当しているんだって。全家族にきめ細かい対応をする、百貨店外商の仕事をのぞいてみよう。(写真提供/日本橋高島屋)

顧客の気に入りそうな商品を提案し、自宅に出向いて販売


百貨店外商は、顧客の自宅に訪問して商品を販売するのが仕事です。年に何回か、国内・海外に顧客と一緒に旅行へ行き(ショッピングツアー)、現地で販売会を行うイベントも開催しています。


担当する顧客の職業は、医師、弁護士、芸能人、企業オーナー、住職など多岐にわたり、富裕層が目立ちます。宝石、呉服、美術品など高額なものはもちろん、洋服、雑貨、食料品まで、生活シーンすべてに関わる商品を販売しています。


顧客が喜ぶ商品をTPOに合わせていかに提案できるかが、腕の見せどころ。何げない雑談を聞き逃さず、「来月旅行に行く」という話が出たら「ご旅行でお召しいただくお洋服はいかがですか?」、「来年娘が結婚する」とわかれば「結婚式でお召しになる黒留袖はいかがですか?」といった提案をします。ニーズをいち早く察知し、販売につなげる対応力が重要です。


また、顧客が身につけている洋服やアクセサリー、自宅の壁にかかっている絵画、応接間の置物、家具、敷物、来客用のティーカップなどを観察。趣味嗜好を読み取り、「お気に召して頂けそうな商品があるのですが」と、先々の提案につなげることも忘れません。


顧客がライフステージ全般の買い物を任せるのですから、最も大切なのは信頼関係を築くことです。依頼されたことが無理と思っても、「できません」と即答はせず、各所に働きかけ、達成できるように努力します。思うような結果が出なくても、依頼主の希望をかなえようと奔走するプロセスが顧客の心の琴線に触れ、信頼を得る第一歩になることも。家族ぐるみの付き合いの中で、その信頼関係は子どもや孫の代まで何十年続くこともあります。

どうしたら百貨店外商になれるの?


百貨店に就職します。一般的に、入社して数年は売り場へ配属され、販売経験を積んだ上で外商を担当する営業部に異動できます。

協力/日本橋高島屋

取材・文/内藤綾子