お花屋さんになりたいけど、どんなことをしているの?

2020.02.03 おしごとBOOK

しごとについての質問

「お花屋さんになりたいです。きれいな花を売る以外に、どんなことをしているの?」(11歳・女子)

児玉ひろ美(こだまひろみ)さん

公立図書館司書とJPIC*読書アドバイザーのふたつの立場から子どもの読書推進活動を展開。幼稚園・保育園から中学生まで、お話し会やブックトークの実践とともに、成人への講座や講演は年100回を超える。近年は短期大学にて「児童文化」「絵本論」の講義を担当し、「2021・2022・2023年度ブックスタート赤ちゃん絵本 選考委員」でもある。著作に『0~5歳子どもを育てる「読み聞かせ」実践ガイド』(小学館)等があり、雑誌やWEB等でも連載中。

*JPIC(ジェイピック):一般社団法人 出版文化産業振興財団

花を届け、人の気持ちに寄り添うことをしています


『おしごとのおはなし 花屋さん 菜乃のポケット』

著者:村上しいこ

絵:かべやふよう

出版社:講談社

価格:1100円(税別)

大手生命保険会社のアンケート「大人になったらなりたいもの」では、「お花屋さん」は2014年まで女の子のなりたい職業のベスト10にランキングされていました。では、なぜ人気に陰りが……。もしかしたら、人気の職業ゆえに、WEBや本などで様々なリサーチをされ「花屋さんも3K(きつい、汚い、給料安い)」と感じられたのかもしれません。


『おしごとのおはなし 花屋さん 菜乃のポケット』の菜乃は花屋の娘。ある朝、妖精チョコットが妖精学校の修業として「日曜日にごろごろしている子に有意義で充実した一日をおくらせる」ため、菜乃のところにやってきました。そこで菜乃は自分の家のお店を手伝うことになります。華やかで幸せの象徴のような花屋さんですが、その仕事は、「人が悲しんでいるところ」や「主役を引き立てる場所」に商品=お花を届け、その気持ちに寄り添うこと。だからこそ、菜乃の両親は見えない部分の努力や苦労は人に見せず、そこにやりがいがあると言いました。


文字も大きく挿絵もあり楽しく読める物語ですが、読む前と読んだ後ではお花屋さんという職業の印象が少し変わります。

お店で花を売る以外にも、花を通していろいろな職業がありますよ


『子どもの心を育む 花育をはじめよう みんなのくらしと花』

著者:大久保 有加(一般社団法人 ジャパン・フラワー&コミュニケーションズ)

出版社:汐文社

価格:3200円(税別)

「花育」とは花に親しみ、育てたり生活に生かしたりする体験を通して、美しさを感じる心や命を大切にする気持ちを育てる活動です。


『子どもの心を育む 花育をはじめよう みんなのくらしと花』では、花をつくり育て、私たちのもとに花の魅力を届けてくれる、たくさんの花のプロを紹介しています。そこには、花がつくられ、運ばれ、市場を通して私たちに届くまでのさまざまな仕組みや流れ。花の生産者の一年、一日。花市場の一日、多様な仕事。そして花を届け、美しさを表現するたくさんの人々。その一つ一つが丁寧に、言葉の解説や写真を添えて紹介されています。花を愛する人が選べる職業の多さにも驚かされます。


巻末には花や緑の仕事に就くための、学びの場や学校の紹介、花と緑に関する主な資格、国際的な展覧会なども掲載されていますので参考にしてください。花屋さんといっても、どんな花屋さんになりたいか、具体的な目標が見えてくるかもしれませんね。