おしごとはくぶつかん

おしごとシアター«第3回»

おしごとシアター 第3回

しごとについての質問

幸せを感じられる仕事とは何ですか?

(15歳 男子)

答えてくれる人
中山なかやま 治美はるみ さん
スポーツ新聞記者を経て、フリーの映画ジャーナリストに。映画サイト「シネマトゥデイ」ほか、多数の雑誌で連載。世界の撮影スタジオ、映画祭を取材中。
働くことの何たるかを、あなたもまた考えるのですね。

質問内容に驚きました。
おそらく世の中の人に仕事に何を求めるのか?を問えば、
「収入」や「安定した生活」と返ってくるでしょう。
あるいは「地位」や「権力」と答える人もいるかもしれません。
ロシアの文豪マキシム・ゴーリキー(1868-1936)は次のような名言を残しました。

「仕事が楽しみならば、人生は楽園だ。仕事が義務なら、人生は悲惨だ」

15歳にして働くことの本質を見抜いてる。
恐れ入りました。

さて今回の質問はまず「幸せ」の定義をどのようにとらえるのかによって、答えが変わってくるかと思います。ここは一つ、「幸せ」の概念について考察を重ねた哲学者など、
私たちの人生の大先輩たちからお知恵を拝借しましょう。

「他者を幸福にすることが、一番確かな幸福である」
(スイスの哲学者アンリ・フレデリック・アミエル)

この言葉をまんま実行に写したのが、映画『パッチ・アダムス』(1998)の主人公である〝パッチ″ことハンター・アダムスです。

パッチは自身が精神科に入院した時の苦い経験から、自分が医師となって患者を支えていこうと誓います。患者と一緒になって病に向き合うというだけでなく、時にピエロ役を演じてユーモアを交えて接し、暗くなりがちな病床に笑いを届けようとします。

今でこそ「笑い」が自然治癒力を高めることが医学的に実証されていますが、映画が公開された1990年代には画期的なことでした。

この映画にはモデルとなった医師がいるのですが、今も現役で理想の医療を目指して活動しています。

きっと患者の笑顔が、彼の人生を豊かにしているのでしょうね。

フランスの哲学者アランは述べています。
「幸福だから笑うのではない。笑うから幸福なのだ」と。

「棺を覆うまでは、その人が幸せだったか否かは分からない」
(古代ギリシャ・アテネの詩人ソロン)

この言葉から、映画『山の郵便配達』(1999)のことを思い浮かべました。
中国の山奥で郵便配達をする父親と、その仕事を受け継ぐことになった息子の心の旅路を描いた作品です。

それは3日間かけて120kmを徒歩で移動する体力的にキツイ仕事です。
足腰が弱った父親は息子にその仕事を譲ることにしました。
でも息子にとってその仕事に就く理由は、公務員で安定した生活を送れるから。
それが父親の仕事に実際に触れることで、認識が変わっていきます。
行く先々で父が届けてくれる手紙を心待ちにしている人たちがいたのです。
さらに父親は、誇りを持ってその仕事に人生を捧げてきたことを知ります。
そして最後、
息子に仕事を受け渡した父親が見せる満ち足りた表情がとても素晴らしく印象に残ります。

多分、本質を見抜いているあなたなら、お分かりかと思います。
幸せを得られるか否かは職種とは関係ないのだと。
でももし、その答えを追究したかったら哲学者という道はいかがでしょう?

  • 『パッチ・アダムス』

    Blu-ray:
    1886円(税別)
    DVD:
    1429円(税別)
    発売元
    NBCユニバーサル・エンターテイメント
  • 『山の郵便配達』

    購入:
    楽天市場、AmazonなどでⅮVDを購入可
    視聴可能な動画配信サービス:
    FOD
    発売元
    東宝東和(廃盤)
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