おしごとはくぶつかん

おしごと文庫«第9回»

おしごと文庫 第9回

しごとについての質問

締め切りに追われている仕事は大変そう。つらくないですか?

(10歳女子)

答えてくれる人
清水しみず 克衛かつよし さん
書店「読書のすすめ」代表、逆のものさし講主宰、NPO法人読書普及協会顧問。1995年に東京都江戸川区篠崎町で書店「読書のすすめ」を開業。著書に、『魂の読書』(育鵬社)、『非常識な読書のすすめ』(現代書林)など多数。
もちろんつらい。でも勇気を振り絞ることで得られるものもあるんだ

締め切りいやだよね。夏休みの宿題なんかは、僕はいつも(休み最後の)31日にやっていました。学校の宿題はそれでいいかもしれないけど、大人になって仕事ではそういうわけにはいきませんね。

でも、ラクな仕事ってあるんだろうか? いやで逃げ出したくなるようなことにこそ、自分を強くしてくれる要素があるとしたら?

みんなもご存じ「桃太郎」。普通の昔話は三人称ですが、この物語は一人称。桃太郎自身がその胸の内を語っているんです。桃太郎が鬼と対決するその瞬間、「ぼくは刀をぬきました。でもどういうわけか、足が前にうごきません。ぼくはいつの間にかふるえていました。ぼくは鬼がこわいと思いました」

鬼に襲われた村人のため、育ててくれたおじいさんおばあさんのため。勇気を振り絞って立ち向かったからこそ、みんなに喜ばれ、そして彼も、真の強さを得たのではないだろうか。

  • 『1人称童話シリーズ Vol.1 桃太郎が語る桃太郎』

    著者:
    クゲ ユウジ
    岡村優太
    出版社
    高陵社書店
    価格:
    1000円(税別)
さかさに考えてみると……、そもそも締め切りってなぜあるんだろうね

お兄ちゃんのリッキーと妹のアンは、あることがあって「さかさ町」という、全てが「逆さま」の町に滞在することになります。

例えば、この町では働くのは子どもたちで、遊ぶのはお年寄りたちです。ですから学校にいくのは休日だけ。それでは、勉強する時間が足りないのではと疑問に思ったアンが「さかさ町」の先生に聞いてみました。すると「この町ではな、とてもいい子だけが学校にいけて、それもいくのは休日だけじゃ。どの子もたのしんではたらいておるから、学校へいくひまなどないからな。いちにんまえのしごとをすることで、社会でたいせつなことをじゅうぶんまなぶ。だから、学校へいくひつようはないんじゃよ」

どうでしょうか? この「さかさ町」では、誰かの助けになったり、おもしろいと思いながら働くことを仕事だというのです。締め切りって、本当に大変でつらいことなのかな?

  • 『さかさ町』

    著者:
    F.エマーソン・アンドリュース
    ルイス・スロボドキン
    訳者
    小宮由
    出版社:
    岩波書店
    価格:
    1400円(税別)
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