おしごとはくぶつかん

おしごと文庫«第6回»

おしごと文庫 第6回

しごとについての質問

仕事でいちばんの苦労って何ですか?

(16歳男子)

答えてくれる人
清水しみず 克衛かつよし さん
書店「読書のすすめ」代表、逆のものさし講主宰、NPO法人読書普及協会顧問。1995年に東京都江戸川区篠崎町で書店「読書のすすめ」を開業。著書に、『魂の読書』(育鵬社)、『非常識な読書のすすめ』(現代書林)など多数。
童話仕立ての物語に隠された、人生の意味

文豪トルストイのこの物語は、貧しい靴屋の男が、とても寒い日にお堂に倒れている正体不明の若い男と出会うことから始まります。若い男は、靴屋の仕事を手伝うことになり、いい職人となって働きます。そんな中、三つの不思議な出来事が起こり、若い男の正体が明らかになるお話です。

そもそも仕事って何でしょう? 苦労ってどういうことでしょう? 例えば、ぼくらが自分で靴を作ろうとしたら大変です。まず革を寸法通りに切って、それをつなぎ合わせて、穴を開けて、ひもを通して……。大変な苦労を伴いますよね。その大変な苦労をして、お客さんに喜んでもらうから仕事になるのです。

もし、自分で簡単に靴が作れるのなら、誰も靴屋さんで靴は買わないでしょう。みなさんは苦労は嫌なモノだと考えてしまっているかもしれませんが、よく考えると苦労はとても楽しくうれしいことなのかもしれませんよ。

  • 『人は何で生きるか』

    著者:
    レフ・トルストイ
    訳者:
    北御門二郎
    出版社:
    あすなろ書房
    価格:
    900円(税別)
繁盛するお店と、つぶれてしまうお店の違いは何だろう?

主人公の四郎さんは、幕末明治の時代に実際にいた人物で、人から「福の神」と呼ばれた人です。

なぜそう呼ばれるようになったのかといえば、彼が立ち寄るお店はとても繁盛して人が途絶えることがありません。それとは逆に彼が寄らないお店は、なぜかつぶれてしまうのです。その不思議な出来事の秘密はこの本に書いてあるので楽しみに読んでみてくださいね。

そもそも苦労という言葉の中には「発展力」という力がこっそりと含まれています。苦労がない仕事には、この力が発揮されませんから、遅かれ早かれつぶれてなくなってしまうでしょう。

仕事でいちばんの苦労って、苦労がないことなのです。近頃の大人は、どうやら苦労を嫌っているようですが、それは大きな間違いだと気付きましょう。

仙台四郎さんは、何があってもいつもニコニコしています。「笑う門には福来る」という言葉がありますが、仕事での苦労は、福の神の到来を示すサインかもしれませんね。

  • 『仙台四郎の物語 福の神になった少年』

    著者:
    丘修三
    絵:
    村上豊
    出版社:
    佼成出版社
    価格:
    1748円(税別)
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