水の力でどうして電気が生まれるの?

おしごと年鑑 社会の土台を支えるお仕事 2024年度
日立三菱水力株式会社

二酸化炭素(CO2 [シーオーツー])を排出しない水力発電は、ダムなどを利用して発電していますが、その詳しい仕組みは意外と知られていません。水力発電の設備(プラント)を作っている日立三菱水力に聞いてみました。

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高いところから落ちてくる水の力を利用して水車を回し、
発電機を回転させることで電気を生み出すよ。

水力発電は、河川やダムなどを利用して、高いところから落ちてくる水の力で水車を回し、水車につながっている発電機を回転させて電気を発生させます。下の図にあるように水力発電にはさまざまな設備が必要になります。施設ができあがれば、水という自然資源の力で生み出される「再生可能なエネルギー」を工場や家庭に送り出すことができます。

水力発電の仕組み

水力発電の仕組み

1 ダム

水をためる

2 鉄管(てっかん)

水を落下させる

3 入口弁(いりぐちべん)

水車を始動する時に開けて、停止する時には閉める

4 水車(すいしゃ)

水の力を受けて回転する
(位置エネルギーを運動エネルギーに転換する)

5 吸出し管(すいだしかん)

発電に使った水を川に戻す

6 発電機(はつでんき)

水車の回転を利用して発電する
(運動エネルギーを電気エネルギーに転換する)

7 制御装置(せいぎょそうち)

水車や発電機の状態を監視して制御する

8 変圧器(へんあつき)

発電された低圧の電気を高圧に変える

9 送電線(そうでんせん)

電力を各地に送る

水力発電は水の力で水車を回すから燃料も必要ないんじゃ。

ドングリーン

いろいろなタイプの水車があるよ

水車(上図)にも種類があり、フランシス(左)、カプラン(中)、ペルトン(右)などが主要モデルです。

いろいろなタイプの水車があるよ

水力発電所はどうやってできていくのか知っておこう

水力発電所を作るには、建設地点ごとに異なる水の落差(水が上から下へ流れ落ちる時の高低差)や流量(流れる水の量)に対応して、最適なプラント仕様を設計します。その仕様に沿って、水車や発電機など主要な設備の図面を作成して製品を作り、発電所建設現場へ輸送し、設置して試運転を行った後に完成します。受注からプラントが完成するまで3年近くかかります。

1 水車を開発する

水車を開発する

◀︎コンピュータを用いた流れ解析や縮小模型を用いた試験を行い、発電所の立地条件に応じた、最適かつ高性能な水車を開発します。

2 設計書を作る

設計書を作る

◀︎どのような製品が必要か、性能やサイズなどを注文主に確認します。要望に合わせて設計書・図面などを作ります。

3 製品を作る

製品を作る

◀︎図面をもとに水車や発電機などの製品を作ります。サイズや重量が大きな製品は部品ごとに作って、発電所に運んでから組み立てることもあります。

4 製品を輸送する

製品を輸送する

◀︎できあがった製品は大型トレーラーにのせて水力発電所に運びます。海外へ輸出する時は港から船にのせて運びます。

5 製品を設置する

製品を設置する

◀︎発電所に運び込んだ製品を設置します。製品は大きいので、例えば水車を先に設置してから、発電機を吊り込んで水車とつなげたりします。

6 試運転をして完成

試運転をして完成

◀︎水力発電所としてきちんと動くか、異常な音や振動が起きていないかを確認します。そこで問題がなければ完成です。

水力発電の利点って何?

水力発電は燃料を燃やしたりしないので、二酸化炭素を出さない地球環境にやさしいエネルギーです。石炭や石油などといった燃料を使わないので、電気を作る費用も少なくてすみます。また水力発電所は定期的にメンテナンスをすることで何十年と使用できます。

水力発電の利点って何?

クリーンで豊かな世界にできることにやりがいを感じます

答えてくれた人

日立三菱水力株式会社
櫻井元春さん 山根和樹さん 石飛秀士さん(左から)

水だけで発電可能な地球にやさしい水力発電所を作る仕事です。私はその中でもお客様の作りたい発電所の希望をくみ取って、それを実現するために社内外でものを作ったり、工事をするいろいろな人々との調整を担当しています(石飛さん)。
水車は、水が高い場所から低い場所へ流れるときの力を利用して回転します。場所によって水の量や高低差が違うので、それぞれの発電所に合わせて水の流れを計算し、オーダーメイドの水車を設計することはとてもやりがいがあります(山根さん)。
私たちが作る水車発電機は、発電所ごとに形状や大きさが変わります。発電機が正確に組み立てられるか、仕様通りに発電できるのかなど、計画するのは大変ですが、無事に機械が完成したときは頑張ったかいがあったなと思います(櫻井さん)。

クリーンで豊かな世界づくりに貢献できることに
やりがいを感じます。

答えてくれた人