高圧ガスが社会生活に欠かせないのはどうして？

私たちの生活の中では、たくさんのガスが使われています。工場や建築現場、乗り物、農業、病院など、あらゆる場所で、なくてはならないものとして活用されています。
たとえば、酸素は病院で使われる吸入用酸素だけでなく、高温が必要な鉄やガラスの製造に欠かせません。窒素は食品の酸化を妨げるために食品パッケージに封入されるほか、酸素のない空間が必要な電子部品工場などで大量に使われています。
炭酸ガスはビールや炭酸飲料などでよく見かけますが、植物の光合成用にビニールハウスでも活躍しています。また、究極のエコカーと呼ばれている燃料電池車の燃料は水素ですね。
普段あまり目にすることのない高圧ガスですが、実は水や電気、道路などと同じように、なくてはならない社会のインフラとして、とても大切な役割を担っているのです。

いろいろな種類のガスがあるのね

ガスはそのままでは体積が大きいため、圧力をかけたり冷却することで体積を小さくした「高圧ガス」として運びます。たとえば、酸素は高圧ガスボンベで運びますが、冷却して液体酸素にすると、タンクローリーなどを使って、一度にたくさん運べるようになります。

圧縮すれば一度にたくさんの量を運べるケモ

空気は、主に酸素（21%）、窒素（78%）、アルゴン（0.9%）で構成されています。気体が液体となる温度を沸点といい、空気も沸点まで冷却すると液体になります。そこで酸素工場では、この空気成分の沸点の違いを利用して、空気を原料にして酸素・窒素・アルゴンを分離製造しています。

▲酸素工場では沸点の違いを利用して、空気を原料として酸素などを製造しています

高圧ガスはいろいろな場所で活躍してるよ

• 1 宇宙開発

  

  小惑星探査機「はやぶさ2」が宇宙を移動するためのイオンエンジンには、キセノンが使われています。

• 2 超電導

  

  リニアモーターカーやMRIに利用される超電導マグネットを冷やすには液体ヘリウムが必要です。

• 3 農業

  

  ビニールハウスで育てられる野菜や果物には光合成を促進させるために炭酸ガスが使われています。

• 4 食品・飲料

  

  炭酸ガスは炭酸飲料にはもちろん、冷凍品の保冷にもドライアイス（固体炭酸ガス）として使われています。

• 5 製鉄所や工場

  

  製鉄所やガラス工場、化学工場といった素材生産工場では大量の酸素や窒素が使われています。

• 6 建設

  

  建設現場では、鉄を切る溶断や鉄と鉄をくっつける溶接にアセチレンと酸素が使われています。

• 7 環境

  

  ダイオキシン抑制に高温が必要なごみ処理場や微生物を使った排水処理場で酸素が使われています。

• 8 医療

  

  吸入用酸素のほか、内視鏡外科手術ではおなかをふくらませるために炭酸ガスが使われています。

高圧ガスはいろいろな場所で使われています

ガスは私たちの身のまわりでもたくさん活躍しています。開ける前のポテトチップスの袋はパンパンにふくらんでいますね。中に入っている気体は、空気ではなく窒素です。窒素がポテトチップスの酸化を防ぎ、おいしさを保つとともに、輸送中にポテトチップスが割れることも防いでいます。また、大人の飲み物といえばコーヒー。カフェインが含まれているので子どもは飲んではいけないと思っていませんか？ 実は炭酸ガスを使用して、コーヒー豆からカフェインを取り除けます。カフェインを含まないコーヒーはカフェインレス・コーヒーなどと呼ばれ、子どもでも飲むことができますよ。

このステッカーを貼った車は高圧ガスを積んでいます。