どうして、賃金の安い国と高い国があるの?

2020.04.08 おしごとBOOK

しごとについての質問

「どうして、賃金の安い国と高い国があるの?」(13歳・女子)

児玉ひろ美(こだまひろみ)さん

公共図書館司書、JPIC(出版文化産業振興財団)読書アドバイザーの官民両方の視線から子どもの読書推進活動を展開。幼稚園・保育園から中学生までを対象にしたお話し会、ブックトークの実践とともに、教員や一般成人への講座や講演も多数。鎌倉女子大学短期学部初等科教育学科非常勤講師。新渡戸文化短期大学生活学科非常勤講師。小学館集英社プロダクション教育アドバイザー。

地域や職種、その他さまざまな場面に「賃金格差」は存在しています


『リキシャガール』

著者:ミタリ・パーキンス

訳:永瀬比奈

絵:ジェイミー・ホーガン

出版社:鈴木出版

価格:1400円(税別)

賃金の安い国と高い国があること(賃金格差)に気づいたあなたは、異文化に暮らす人々の暮らしに、関心を寄せる何かきっかけがあったのですね。とても大切なことだと思います。


実はこの「賃金格差」、国と国の間だけではなく、同じ国のなかでも地域や職種、その他さまざまな場面に存在します。その一方で、男女の賃金に大きな格差があることは、世界共通という事実もあります。この数年はさまざまな人が格差を研究し、発表したり、本を出したりして「格差論」が大きなブームになりました。でも残念ながら、経済学者の間でも、賃金格差の原因については一致した考え方がまだ見つからないようです。


大きな枠組みでの原因や解決策は見つからずとも、自分ができることから始め、家族の生活を変えた女の子がいます。


『リキシャガール』のナイマ(10歳)はバングラデシュの美しいアルポナ(祝日に女の子が家の敷石などに描く伝統模様)を描ける女の子。父はリキシャ(客用シート付き三輪車タクシー)の運転手です。友達のサリームは男の子だから、父親の代わりにリキシャを動かすことができるのに、ナイマは女の子ゆえに働くことが許されず、悔しくてたまりません。ナイマは働き詰めの父親を休ませてあげたかったのです。そこで、自分の得意なアルボナを生かした仕事を考えます。さまざまな困難や因習の壁がナイマの道を阻みますが、女性の自立や就労を支援する新しい仕組みが誕生し、ナイマを助けます。

40年以上前に出版された絵本にも共通点があります


『社会格差はどこから?』

著者:プランテルグループ

訳:宇野和美

絵:ジュアン・ネグレスコロール

出版社:あかね書房

価格:1800円(税別)

では、ナイマを悔しがらせた、働くことさえ許されない社会の格差について考えてみましょう。『社会格差はどこから?』の原作は40年以上前にスペインで出版されたものですが、当時民主主義社会へと踏み出そうとしていたスペインが、子どもに伝えたかったことをつづった作品です。それが今、イラストを変えることで、内容はそのまま今の日本でも通用するから不思議です。 


冒頭の、「人はみな平等だ。けれど、世のなかには、ちがいをつくりだすものがある」それは「暴力」「権力」「お金」「文化」。続くページは、ぜひご自身で読んでみてください。本書のシリーズ名は「あしたのための本」。全部で4冊あります。